桃は〜 時間をテーマに制作しました〜
遅刻魔のお前さんが時間をテーマに?
皆さんは、『モモと時間どろぼう』というお話をご存知ですか?時間という難しい概念をテーマにした、児童文学の名作です♡
朝、ここに到着したときから、一軒家の中にぎっしり詰まった
骨董廃品の凝縮された古い匂いと……
かつては持ち主のいた廃品が持つ歴史なのか……
哀しいずっしりとした感覚に包まれていて……。
『時間って一体なんなんだろう?』という素朴な疑問が頭の中にありました
遅刻魔のYouが時間に疑問を?
そして…桃は、時間は右から左なのか、下から上なのか、どこからどこに流れているのかな…? と普段考えないようなことを自然と考えてしまいましたぁ
遅刻魔のアータが時間軸と空間軸のことを?自然に?
時間の流れをそのまま視覚で表現したく、空間を斜めに切ることで、時間の流れは視覚化すると平行じゃないということを表現しました♡
遅刻魔のくだりを無視し続けて良くも長々と言い切ったな。
メンタル強っ
そして、注目してほしいところはココです!
時計カセットテープ、クリップ、枠!
Jポップのタイトルのようですが?
モノとモノの隙間に、目には見えない思惑や感情といったものが当てはまり、時間というものを構成しているということを表しています。
ちなみに、空間を斜めに切っている日本刀は、本来木枠の棒でしたが、持ち帰る時に電車の中に置き忘れちゃってぇ。えへ。
木枠どろぼうさん、お願いだから展示会までに返してください♡
誰も取らねぇだろ!そもそもゴミだし!
まぁまぁ、桃ちゃんの頑強ぶりはさておき。苦笑。
作品は時間を主題にしてるだけあって、時計をメインモチーフにしつつも時代の流れを並行でもなく水平でもなく表現した象徴的な刀(紛失した棒?)のラインが印象的ですね!
NO.2 ニノ『void』
”void”には『空虚な』や『がらんどう』といった意味があります。
多くのモノが集積したこの空間には最もそぐわない言葉かもしれませんが…モノや時間や空間が構成している「時空」が圧縮されて過ぎ去り、ふと我に返るとき私は……自分の中に強く『空虚』を感じます…。
この場所に来て、まずは大量のお酒の入れものが目に入りました。それらは物質として存在するのに『空っぽ』で……
ご主人の中にも私と同じような『空虚』があるのかもしれない……と……勝手に…共感する気持ちが……生まれ……ました
誰か!ニノにお酒を持ってきてあげて!
勝手にも…ご主人との接点であるお酒の空き容器をメインに…
そして過去の象徴として恐竜を…現在の象徴として車を配置することで、過ぎ去った時空の儚さ・虚しさ、翻って……『今・ここ』で生きることへの賛美と決意を…表しました
Oh …確かにvoidな感覚を感じた空間だったわ。彼の心の穴をこれらのお酒は埋められたのかしら…
なんでだよぉ 涙が止まらねぇよぉ
みんな落ち着いて!
・・・そういえば、超一流ブックデザイナー(不思議系)の祖父江慎さんも、徹夜明けの仕事の後に恐竜のミニチュアを進化の順に並べながら、太古からの時間の中で今の苦痛なんてほんの一瞬だ!と自分を慰めるらしいし、思考パターン似てるかも!?
あ…余談ですが…この秋川の地酒、ご主人曰く地元の有名な日本酒だそうなので……今度どこかで手に入れて…飲んでみたいと…思っています
お供するざます
NO.3 shiorizm『時の残骸』
ご主人のお家に入ったすぐのところにファッションアイテムとか電話や携帯電話とかが散乱してたことにみんな気が付いた?
その時代時代の流行りものが積み重なっていて、時代の経過を見ることができたわ。
その中にあった偽ブランド品。
昔さ、おばあちゃんの時代にブランド品が流行ってね。
本当は高くて買えないけど安く買えるところがあるよって言われて買いに行ったら少し安くなってて、それをウキウキして買ったら偽物だったっていう話、思い出しちゃったわよ!
そんな鞄の隣にコギャル世代のピンクラメ携帯が落ちてたから
時代のおしゃれ番長集結状態だなぁって思ったわ☆
ほんとに。RIKACOもビックリざますわね
誰ですかぁ?それ〜?
おしゃれして新しい物を追いかけたその残りが、ご主人の家に積み重なってた。
華やかな売り場にあった、かつて女子の心を鷲掴みにしたその物達が、もう用無しで誰にも見向きもされずにそこに雑にあった。
虚しい…おしゃれって何なんだろう。
流行りって何なんだろう。
物って…ゴミって…なんなんだろう
ちくしょ〜っ また涙が止まらねぇよぉ 尾崎〜!
電話、時計、RADIO、ポーチ。
かつてイケていたものを詰め込んだおしゃれ番長おばあちゃんのbagも空虚な残骸bagになってしまった
そこに咲く薔薇の花は王蟲の触手みたいなもの。どうにかその虚しさを癒すことはできないものかと考えた私の触手のようなもの。
でも造花の薔薇程度の私の力では何もできることなんかなかったのだけど、ね……
平成生まれの桃には見覚えあるものがひとつもないけどぉ、今のおばあちゃんたちにも、オバハンたちにも、私みたいにキラキラ輝いてた時代があったってことかぁ…♡
表出ろ
かつて輝いていた品々とその思い出かぁ、、、。。
これって現代アート界のTOPスターであるジェフクーンズの掃除機を用いた作品「The New」の対極にあるコンセプトだね!
(新品の掃除機を消費社会の欲望の象徴としてショーウインドウ風に展示している作品。「ザ・新品」というコンセプト。一度、起動させたら中古になるので価値がなくなる。)
NO.4 キャ☆ずな『記録による再現』
人生初ゴミ屋敷〜!の写真家キャ☆ずなとしては、今回ドキュメンタリーフォトの撮影も担当していたので、作品は自然と『写真とリンクしたもの』…というか、『写真を反映したもの』になったよね。
記録写真を廃材を使って再現する作業、ドキュメンタリーアート of 廃材!的な〜?
ではこれらの人形は、どなたかモデルが?
左の人形は、家主の久保嶋さん。
右のサイはレンジさんがモデルです
……サイ…
左の人形は家主の久保嶋さんが屋敷の中から現れた1枚(上左)を、再現したのだけど…。
ご主人がゴミ山をかき分けて出てきたあのシーンは、めっちゃ衝撃的で…。なんだか全体的にイビツで、でもどこか滑稽なワンシーンでさ!
サイズ感や素材がバラバラで何かとアンバランスな人形は 家主の久保嶋さんを、足元の小物類は溢れかえるゴミを表してみたんだ
確かに今日イチ、いえ、人生イチ衝撃と言っても過言ではないざます
右の作品は、レンジ先生が屋敷内部へ切り込み隊長として
一番初めに突入した時の1枚(上右)を再現。
レンジ先生ってば、まるで宝の山を登っているかのように嬉々としていて…いや〜スゴイなって(笑)。
あの時ばかりはおっさんが少年に見えたよね!
おっさん言うな!
レトロなラジカセとか、売ったらけっこうな価値のありそうなものが、明らかなるゴミの中でキラキラしてるそのアンビバレントな輝きって、、、つまり、ここ自体がアートなオーラを放ってたのだよ。
それにしても、キャ☆ずなの家主さんモデル作品、まさに<キッチュ>!
そして、家主さんの一見してのやさしさと、ゴミの中で暮らす何かしらのタフネス・ハートが見事にコンバインされたいい作品だね!
おっさん……
噛み締めなくてよろしい!
NO.5 まき『リンボのSelf portrait』
お宅に土足であがったとき、「足場の悪い危険な場所に突入する」という現実と、「人様のご自宅にお邪魔する」という意識とが頭の中で激しくぶつかり合い、私は混乱しました。
そのとき、ある記憶がフラッシュバックしたんざます。
数年前、我が家を建て替えたときのこと。代々住んだ築80年の一軒家。その取壊しの日までに家を空にするために、私は連日連夜、不用品を捨て続けました。
亡くなった家族の愛用品や、たんすや押入れの中身をすべて引っぱり出し、他人に譲りきれなかった膨大なモノというモノを、ただひたすら捨てたんざます。まだ使える物への後ろめたさや、持ち主だった家族への思い入れといった情は封印して。
あのときも汗まみれ埃まみれで、私は鬼気迫る形相だったに違いありません…
壮絶~!
このお屋敷の膨大なコレクションアイテムの中から、何かご主人の過去の愛用の品がないかと探してみつけたのが、この割れたカセットテープざます
<槇原敬之「Self Portrait」>
マッキーじゃん!!!懐かC !!!
25年以上前にリリースされたアルバムは、カセットテープにダビングされ、幾度となく再生されたのでしょう。その部屋は、今よりも足の踏み場があったことでしょう。ご主人がこれを聴く光景を思い浮かべながら、私は自分の彫刻作品(綿棒)とそれを対峙させてみたいと思いました
彫刻!?……ってWow!! 綿棒に顔がある!
家の取り壊しをきっかけに、捨てるという行為、使い捨ての量産品に興味が湧き、こつこつと制作しているざます。
捨てるしかなかった私がつくる作品と、捨てなかったご主人の思い出の一片。
この二者が出会い、どんな会話を交わしているんざましょ。という作品です
なるほど…この企画自体が、現代社会のまさにSelf portrait
でもあるわけだね
NO.6 レンジ『ごみ盆栽』
今回の僕のアートは <美術史の授業> という「ゴミ屋敷家主さんとの対話」がメイン。
ラストまで笑顔で話を聞いてくれたけども、決して自分の領域から出ようとはしない <頑なさ> もどこかに感じ、不思議な感慨がありました。
まるで漫画『銀河鉄道999』で全く異なる常識の星に降り立ったときの主人公・鉄郎になったような気分……
『星の王子様』でもそういう場面があるざますね
まぁ…そういうしてるうちに…この床から天井ギリギリまで積もったゴミの上を這ってるだけで自分の子供のころの興奮がよみがえり、我を忘れてましたが…笑
ということで僕は、家主さんとの対話、そしてこのゴミ屋敷自体を作品として残したくて。
たまたま先週テレビでやってた「盆栽~日本文化 」といった番組で、ホントに葉や幹の流れまで巨木が完璧にミニチュア化できている盆栽に衝撃を受けてたしね。
まんまだけど<ゴミ盆栽>という作品を制作しました!
そういえば、盆栽も現代アートのように、素人にはよく解らないけど数千万円とかする共通項がありますね!!
この昭和風 花瓶の中のミッキー人形は、ゴミ屋敷に引きこもっているご主人のメタファー?
そう。
そして…
ごみの山の中に、チラリと見えるレトロなお宝…北島三郎のレコジャケやら、割れたシングルレコード奥飛騨慕情/竜鉄也や、手塚治虫漫画を見て、世代の異なるご主人とのモノを通じての対話もあった気がしてます
激しくagree!
いやぁ、それにしても最初はどうなるかと思ったけど、奇跡の連続でゴミ屋敷授業&ゴミ屋敷のゴミで作品制作が実現したね。
普段気にしてないけど、実は日常の<モノ>って時代によってどんどん変わっていて、久々に目にすると心に訴えかけてくる……それがみんなの作品で見えてきたかもね。
そうそう、、マスコミの報道と、実際にゴミ屋敷の中で家主さんと対話してみた印象はどうだったかな!?
あとで対談・at youtubeしましょうか?!
ハイ!
というわけで、「ゴミ屋敷で突撃授業」というAONOSEのチャレンジはいかがでしたでしょうか?
私たちAONOSEは美術教育に携わるアーティスト集団として今後も社会に蔓延るさまざまな疑問・難問にアートの力で突撃していきます。
またお会いするその日まで。
アディオ~ス!